2024.12.6
日本の美白の歴史とは?
初めて美白有効成分が承認されたのは1988年! vol.1(全4回)
気になるシミや黄ぐすみに働きかける美白ケア。今でこそ数多くの美白成分が知られていますが、日本で初めて美白有効成分が承認されたのは1988 年のことでした。その成分こそが、三省製薬が開発した『コウジ酸』です。そこで本記事では、日本の医薬部外品に美白という概念をもたらし、その高い美白力に加え黄ぐすみの防止にも有効とされている『コウジ酸』について、あらためてご紹介します。
日本の美白の歴史を辿ると、平安時代まで遡ります。
時代 | 美白の歴史 |
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平安時代 |
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江戸時代 |
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明治時代以降 |
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現代 |
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平安時代は、人々の暮らしていた環境そのものが、白い肌への憧れを強めていました。当時の代表的な物語『源氏物語』には「白くて透き通るように美しい肌」という表現が登場します。これは比類のない美しさを表現したものです。
この「白い肌」への憧れは、中国文化の影響を受けて、日本の文学の中で育まれていきました。当時の貴族の邸宅は現代と比べるととても暗く、昼でさえも十分な光が入りませんでした。そのような環境では、白粉をつけた白い肌が一層輝いて見えたことでしょう。このように平安時代から、日本独自の美しさの基準が形作られていきました。
「白い肌」といっても単に色が白いだけではなく、透明感があり、きめ細かでつやのある肌、まるで磨き上げた宝石のような輝きのある肌が理想とされていました。特に江戸時代になると、素肌の美しさを追求する方法が発展しました。
日本女性は昔から肌の手入れに非常に気を配ってきました。白粉による化粧も重要でしたが、実は薄く自然に見えるように塗ることが好まれていました。そのため、素肌をきれいに保つことが大切で、当時の美容の本には肌を白くするためのさまざまな方法が詳しく書かれています。江戸時代には「美白香」という、肌のきめやつやを整える化粧品も存在しました。そんな中、当時の白粉には危険な成分が含まれており、深刻な健康被害を引き起こすこともありました。
江戸時代の女性たちは、完璧な素肌に見せるために細かい工夫を重ねていました。『都風俗化粧伝』には、何度も化粧を塗り直したり、部分的に手ぬぐいでぬぐったりする技法が紹介されています。この「白い肌が美しい」という考え方は、現代の美容トレンドにも影響を与えています。
最近では、単に色が白いことよりも、健康的で美しい肌質を目指す傾向が強くなってきています。
美白のパイオニアである『コウジ酸』は、三省製薬の代名詞とも言える存在です。まずは、その高い美白力をご覧ください。
コウジ酸配合のクリームを塗布し続けることで、鼻の上にあった濃いシミが、10 ヶ月後に明らかに薄くなっていることがわかります。
これほどまでの実力を持つ『コウジ酸』の開発のきっかけは、酒造りを行う杜氏の手にありました。杜氏の手はいつも水仕事を行っているにも関わらず白く美しいといわれ、三省製薬はこのことにヒントを得て、日本酒などの醸造に使われる麹(こうじ)に着目しました。そして、麹菌の発酵過程で生みだされる発酵代謝物質「コウジ酸」が、シミのもととなるメラニンをつくる酵素の働きを抑えることを突き止めたのです。
その後、13 年もの年月をかけて研究を行い、『コウジ酸』は1988 年に日本初の医薬部外品有効成分(美白剤)として承認を取得。ヒトの肌において確かな効果と安全性が実証された、初の美白有効成分となったのです。現在では、40 年以上の使用実績があり、皮膚科での色素沈着症治療にも使用され美白のスタンダード成分として高く評価されています。
人と同じメラニン生成酵素をもつマッシュルームを使った実験では、『コウジ酸』を塗布することで、メラニンの発生が抑制されることが実証されています。
この実験からわかるように、『コウジ酸』の働きは脱色やメラニンをつくる色素細胞を傷つけることではなく、メラニンの生成を抑制することにあります。金魚を用いた検証では、メラニン色素によって濃い体色を持っている黒色金魚が、淡い色合いに退色するという結果が見られました。
『コウジ酸』はヒトはもちろん、金魚にも安全な成分であり、『コウジ酸』を添加した水で飼育しても金魚の健康に影響はありません。色素細胞の機能も壊されていないため、退色した後に再び通常の水で飼育すると、抑制されていたメラニン色素の生成が再開され金魚は元の黒色に戻ります。
メラニン生成を抑制することで、新たなシミや黄ぐすみを防ぐ、『コウジ酸』。1988 年に日本初の美白有効成分に承認され、そこから日本の美白が始まったと言っても過言ではないでしょう。 現在では、『コウジ酸』以外にも様々な美白成分がありますが、そのメカニズムはそれぞれ異なります。次回は、各美白成分のメカニズムについてご紹介いたします。